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紙の違いによる印刷の再現性~グラビア印刷~

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グラビア印刷の現場では、お客様がイメージしている成果物が出来上がるよう、

様々な事に配慮しながら作業を進行します。

入稿データの内容をもとに製版し、その版を使用して印刷されることになりますが、

製版時にもデザインや印刷される基材、印刷機械の特徴を考慮しながら作業を進め、

色の再現性、耐磨性や滑り性など品質要求レベルを確認しながらインキなどの選定を行い、

印刷時もインキや機械の調整を行う事によってお客様の求める品質に仕上げていきます。




今回のテーマは、『原紙の違いによって、印刷再現性にどのような違いが出るのか?』です。

用途により紙の選定があることが一般的だと思います。このコラムでは印刷側として紙の種類によって

印刷の仕上がりに変化があることを認識して頂ければ幸いです。




印刷は紙用グラビア印刷機(静電印刷)で3種類の原紙(純白ロール紙、上質紙、コート紙)を使用し、

全ての原紙において入稿データ、版、インキ、機械設定を全く同じ条件で印刷したものを比較してみました。

印刷物を作る際の紙の選定時やデータ上のデザインがイメージ通りに印刷されるか心配な方は、

参考にしてみて下さい。




まずは今回用意した紙の特徴を簡単に説明します。

①純白ロール紙
包装紙や貼り合せ用の原紙として様々な用途で使用される紙です。片面はツヤがあり平滑性のある紙です。

②上質紙
会社やご家庭のプリンターなどにも使用される一般的な紙です。

③コート紙
光沢があり、発色もきれいな紙です。

上記を踏まえて以下をご確認下さい。


■図1:見え方の違い

kamibetu_hikaku.jpg




印刷物は紙の地合いに大きく左右されます。

上記のような写真をグラビア印刷した場合、光沢があり平滑性にも優れるコート紙は

シャープにキレイな発色をしています。

一方で、純白ロール紙や上質紙は紙の地合いによる影響でコート紙と比較するとやわらかく見え

発色も異なりますが、これは紙の厚さや平滑性にムラがある事やインキの含浸具合など紙の性質に

起因しています。




■図2:グラデーションの出方

gradation_hikaku.jpg




純白ロール紙、上質紙はグラデーションがインキが紙になじんで含浸しており、

グラデーションがなめらかに再現されています。

しかし、平滑性でやや劣る上質紙は純白と比較すると濃度が低くなるにつれて

紙の地合いが出てきて目視でも白くプツプツとした現象が見えてきます。

これをスコープで見たものが図3になります。



図3:純白ロールと上質紙のインキ転移の状況をマイクロスコープで比較

junpaku_joushitsu_hikaku.jpg



一方、コート紙は濃度が薄くなっていく中間層でムラになっている部分があります。
*図2赤枠参照


そして図4をご確認ください。

coatshi_mura.jpg




図2の赤枠内のムラは、グラデーションの濃淡が変化していく際に出てくる症状で

通常、色が濃い部分は版のセルからコート紙に転移されたインキが隣のセルのインキと結合し、

薄い部分はインキが結合せずに独立したドットの状態になるのですが、

中間層の一定部分(図4の真ん中の写真)においてはインキが結合している部分と

独立している部分が混在するためにムラとなって現れます。


今回のコラムではムラを解消するための解決策については言及しませんが、

コート紙に印刷されるグラデーションにはこのような症状が現れるポイントがある事を

認識頂ければと思います。



簡単ではありますが、上記のように紙によって細かな部分で“差”があることがご理解頂けましたか?

もちろん、上記で説明したようなコート紙のムラや上質紙の地合いが出てしまうような症状は

インキ、版、機械などの調整により軽減・解消させることが出来ますが、今回はテストのために

細かな調整は行わないで実施しました。グラビア印刷に携わる方の参考になればと思います。







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